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CPC課金の見直しは起こるか

田中です。

久々の投稿です。最近はこのブログも執行役員陣が書いてくれていたので、私は思う存分、本の執筆に時間をあてていたのですが、

そろそろ本も落ち着いてまいりましたので、また週1回程度、書いていこうと思っています。

今回は問題提起というか、ディスプレイ広告のCPCでの課金形態による広告販売について書きたいと思います。

これは最近考えていることを備忘録的に書いていますので、これが正解、というものではありませんが、書いてみたいテーマであるので書いてみます。

最近私はずっとビュースルー、ビュースルーと言い続けているので、クリックを忘れているのではないかと勘ぐる方もいらっしゃると思いますが、そうではありません。コンバージョンパス上に、クリックが存在しているシェアが少ないので、ビュースルーも見ないと全ての効果測定は難しいと思っているのです。

一方、クリックとは検索まではいかないまでも、重要な態度変容のファクターです。間違いクリックもありますが、興味が無いとクリックしないでしょう。

CPC課金の広告は、ディスプレイ広告分野でいえば、アドネットワークではまだまだ主流の売り方ですよね。CPM買いよりもメインストリームではないかと。全体に広く配信するブロードリーチ型の商品と、特定カテゴリに区切ったカテゴリリーチ商品があります。

一方、DSPの場合ではインプレッション自体に価値をつけることが可能となったため、CPM課金も、復活してきています。DSPでもCPCでの購入ができるところもありますので、一概には言えませんが、多くの場合はeCPM(CPC×CTR)による価値定義となっているので、CTRがよければ、CPMも安く購入できることが多いのです。

では、このブロードリーチ型やカテゴリリーチ型のCPC課金広告の価値ですが、今後どうなっていくのでしょうか。クリック課金は広告主にとっては、CPM課金に比べて、リスクが無いとされてきましたが、DSP全盛の時代を迎えて、このようなアドネットワークでの課金形態について、考えてみます。

私の仮説は、

  1. コンバージョンパス上に多く現れる場合において、CPC課金は再評価されるべきではないか
  2. 上記とも近いですが、アトリビューションの寄与効果分析から考えると、CPC課金は初回接触用の用途があるのではないか
  3. リマーケティングとの親和性があるのではないか

の3つを持っています。

この3つの仮説を述べていく前に、先日iogous*markを使ったコンバージョンパス分析で、面白い結果が得られましたので紹介します。

この広告主様は、アドネットワークのブロードリーチ(CPC課金)と、同一アドネットワークのリターゲティング(CPC課金)を出稿していました。当然のことながら、リターゲティングのCPAは割りに合いやすいので、継続出稿が決まります。一方で、アドネットワークのブロードリーチは、リターゲティングよりも断然CPC単価が安いので、初回接触としては最適なのではないか、この投資判断可否を測って欲しい、という依頼でした。

そこで、第三者配信エンジンのiogous*markでコンバージョンパス分析をしてみました。この結果、非常に興味深いデータが得られました。

A.ビュー→クリック→CV:直接コンバージョン

B.ビュー→サーチ→リタゲ→CV:組みわせコンバージョン

C.ビュー→クリック→リタゲ→CV:組みわせコンバージョン

といったようなCVパスが計測できます。(他にもパスはありますが割愛します)下線部分はブロードリーチ(低CPC)で、それ以外はサーチやリタゲなどの高CPCの課金形態です。このように、ブロードリーチでのそもそもの接触(インプレッションまたはクリック)をきっかけとして、その後サーチまたはリターゲティングが発動して刈り取る、というコンビネーションによるコンバージョンが、全体の6割を超えていたのです。

つまり、このお客様と、このアドネットワークの場合には、リターゲティングがCPAが良いから残し、ブロードリーチはCPAが悪いから予算削減、という投資判断は「行わない方が良い」という結論が導き出せます。ブロードリーチをやめてしまうと、リターゲティングのマーク数が稼げず、サーチ数も落ちてしまい、結局のところ新規獲得数が落ちる可能性が高いということです。むろんこの現象が全てに当てはまるわけではありません。CVパス分析により、もっと相性の良い組み合わせを発見できれば、そちらに予算配分する方が良いでしょう。

この広告主様の場合には、低CPC課金でブロードリーチを購入していたがために、ビュースルーサーチも発生しており(よりビュースルーサーチが発生する媒体もありますが、コストが高くなると価値は同一になってしまう)、むしろ一挙両得なのではないか、という結果となりました。

クリックではなくビュースルーの話をしてしまいましたが、アタラさんのブログでも触れられていますが、

アトリビューションでより効率的に需要を喚起できるのはなぜか?(2/2)

初回接触のコストを下げることは重要です。特にリスティング広告しか実施していない広告主様の場合には、初回接触を高CPCのリスティング広告で消化している場合もあるので、そちらを低CPC課金のアドネットワーク広告で代替する、という考え方もあると思うのです。ただし、じゃあ単にCPCを買えばいいんだ、というやり方では失敗します。CVパス上で、重要な初回接触(インプレッション/クリック問わず)となっていれば、投資すべし、となるでしょう。

では先ほどの仮説に戻りましょう。

  1. コンバージョンパス上に多く現れる場合において、CPC課金は再評価されるべきではないか
  2. 上記とも近いですが、アトリビューションの寄与効果分析から考えると、CPC課金は初回接触用の用途があるのではないか
  3. リマーケティングとの親和性があるのではないか

1については、ビュースルーサーチが多く出て、さらにCVパス上に多く現れる場合において、アドネットワークのCPC課金はコストメリットが大きいと思われます。

2についてはまだ議論の余地がありますが、うまく分析してコストのかかっている経路が抽出できれば、アリかと思います。

3はCVパスのコンビネーションが多く現れる場合には、効果の良いリマーケティングリストを多く獲得する手段としてアリかと思います。直接コンバージョンだけを狙うための手段として、アドネットワークを使うのは少々もったいないのではないかと思うのです。せっかくCPCという低リスクの課金形態ですので。

以上で考察を終わります。CVパス分析は必ず必要となりますが、コンバージョン数の量を担保するには、こういった手法もアリなのではないかと思います。

アドネットワークのブロードリーチ+カテゴリリーチにより初回接触を低リスクで行い量を確保し、DSPで効率よく絞込み、リターゲティングやリスティングでクロージング、といった最強パターンが見つけられると、トータルコンバージョンがぐっと増える可能性が高くなるのではないでしょうか。

Author : yuzuru