Fringe81社長日記Fringe81 CEO's Blog

CPAからアトリビューション系指標へ移行するためにやらなければならない3つのステップ(後編)

三部作もいよいよラストです。

前編中編を未読の方は読んでからの方が理解が深まるかと思います。

参照①:

CPAからアトリビューション系指標へ移行するためにやらなければならない3つのステップ(前編)

 

参照②:

CPAからアトリビューション系指標へ移行するためにやらなければならない3つのステップ(中編)

 

本エントリーではバナー広告の評価ステップである
  1. コンバージョンを二次元で眺めてみる

  2. 媒体を役割で評価する

  3. 予算をアトリビューションの観点から配分する

のうち、媒体を役割で評価する事を深堀りしていきます。

ちょっと長いのでゆっくりとお付き合いくださいね。

 

◆課題の再確認

中編では媒体を役割事で評価するという所まで話しましたが、

媒体の連動性までは見えていない事を課題として挙げました。

Fig.1:態度変容ファネルのイメージ

この連動性が全てわかればネット広告全体を統合してどこにどれだけ予算を配分すれば良いか最も正確に分かるので投資の意思決定に大きく響いてくると思うのですが、広告手法毎の予算取りが違う事もあるのでなかなか実行に移す事は難しいかと思います。

 

よって今回はこの連動性の中でも予算取りが同じであるリターゲティングとディスプレイ広告に対象を限定し、汎用的な課題である

「リターゲティングと連動する広告を見つける事で出稿可否の意思決定をより正確に出来るようにする」

事をゴールとしましょう。

 

◆広告は連動する?

ユーザーがコンバージョンするまでには広告と何回も接触して

購入に至るのは皆さん何と無く理解されていると思います。

例えば次の図を見てください。


Fig.2:典型的なコンバージョンパス

⇒純広告を一回見てクリックしてサイトに来たが離脱する

(ビュー時にクッキー付与)

⇒リターゲティングバナーが配信される

⇒興味が再度喚起されクリック、コンバージョンする

 

非常に典型的な例ですね。

一般的にイメージされる媒体の連動はこんな感じなのかなと思います。

 

では次に、ある案件でコンバージョンするまでのパスがありますのでそちらを見てください。


Fig.3:一般的なコンバージョンまでのパス

ちょっとわけわかんなくなってます。

 

流れはこうです。

⇒純広告でビュー3回、後日検索して

自然検索結果からサイトに来たが離脱(ビュー時にクッキー付与)

 

⇒リターゲティングバナーを断続的に8回ビュー、

再度サーチして自然検索結果から流入後コンバージョン

 

どうでしょう。

これ、クリックすらしてません。

しかもリスティングからの流入でも有りません。

 

でも、連動してますよね。


実は、こんな感じで連動するコンバージョンというのは

クリックが介在しないケースが非常に多いのです。

 

この事例として、Fringe81が提供しているレポートのひとつである

ビュースルーコンバージョンパス分析サマリを紹介します。

 

◆事例をどれだけ積み重ねても、クリックが介在するパスは全体の10%に満たない

弊社はユーザがコンバージョンするにあたってどういう動きをしていたかを

ビュースルーコンバージョンパスの類型化を行う事で簡単に分かる様にしています。

Fig.4:ビュースルーコンバージョンパス分析まとめ

もう一度言いますが、これは弊社の第三者配信エンジンが計測した全てのコンバージョンを、どういう経路を辿ってきたかで類型化したものです。

パスの分岐はロジックツリーの箇所を見て頂ければ分かりますが、下記のような構造になっています。

コンバージョン類型化のパターン

■いつクッキーを付与したか?
┣①バナー表示時
┃┗パスの中でクリックしている?Y・・・・・・・・・・・・・aパス
┃ ┗N:パスの中でサーチしている?Y ・・・・・・・・・・bパス
┃  ┗N:クリックもサーチも無い?Y ・・・・・・・・・・・・cパス
┣②サイト流入時
┃┣自社に直接流入(サーチもしくはブックマーク)
┃┃┗パスの中でクリックしている?Y・・・・・・・・・・・dパス
┃┃ ┗N:ラストアクションがサーチ?Y ・・・・・・・・・・eパス
┃┃  ┗N:ラストアクションがビュー?Y ・・・・・・・・・fパス
┃┃   ┗N:クリックもサーチもビューも無い?Y・・・gパス
┃┗どこかのサイトから直接流入
┃ ┗パスの中でクリックしている?Y・・・・・・・・・・・・hパス
┃  ┗N:ラストアクションがサーチ?Y ・・・・・・・・・・・iパス
┃   ┗N:ラストアクションがビュー?Y ・・・・・・・・・・jパス
┃    ┗N:クリックもサーチもビューも無い?Y ・・・kパス
┗経路分析が出来ないパス・・・・・・・・・・・・・・・・・・xパス
※Y:YES / N:NO

先ほどのパスだと

 

⇒純広告を一回見てクリックしてサイトに来たが離脱する

⇒リターゲティングバナーが配信される

⇒興味が再度喚起されクリック、コンバージョンする

このパスはaパス、

 

⇒純広告でビュー3回、後日検索して自然検索結果からサイトに来たが離脱(ビュー時にクッキー付与)

⇒リターゲティングバナーを断続的に8回ビュー、再度サーチして自然検索結果から流入後コンバージョン

このパスはbパスにあたります。

 

さて、このパスはどの位の割合で分布しているのでしょうか?

これ、出しちゃいます。

Fig.5:コンバージョンパス類型化毎のコンバージョンシェア

 

この割合の元データは業種が異なる10社のある一月の配信を統合して

平均化したものです。配信impsは延べ10億ほどでしょうか。

見ていただくと分かりますが、

クリックが介在しているa,d,hパスのシェアはひっじょーーに低いんですね。

私達もいくら何でももう少しクリックが介在するシェアは高いだろうと

初めのうちはデータを疑っていたんですが、

どのクライアント様でも連続してこの様な結果が出てきていますので

「これが本当のWEB広告の結果なんだ」と広告効果の基準点をセットしなおしています。

 

◆スターターは総誘導数+◯◯が重要

コンバージョンパスの中で一番シェアが高いのはbパスでした。

この事は、WEBのディスプレイ広告をコンバージョンのきっかけとする場合に限って言えば

広告の効果はクリックだけでなくサーチも促した方が高くなるという事を表しています。

 

一方で、単にクリック+サーチ流入=総誘導数をどれだけ増やしても、

態度変容しきっていないユーザを流入させるだけで

コンバージョンに至らせる事は難しくあります。

 

コンバージョンに漕ぎ着ける効果が高いのはやはりリターゲティングです。

リターゲティングで畳み掛けて配信する事で、サーチに誘導する力も最も高いですし

クリックからのコンバージョンも非常に良い事はみなさん周知の事かと存じます。

であれば、(リターゲティングを掛けるために)サイトに誘導させた数が一番多い媒体が

コンバージョンのスターターとして一番偉いのではないでしょうか。

 

逆の視点から言えば、リターゲティングからコンバージョンしたユーザのパスの中で

最も連動していた媒体がスターターとしての価値が高い媒体と言えるかと思います。

 

※スターターについてはこちらのエントリをご参考にしてください。
⇒SPC分析について:http://www.fringe81.com/blog/?p=969

 

◆コンバージョンは庭の中で連動する

結論から言うと、リターゲティングと連動する媒体は

リターゲティングを行うネットワークのブロードリーチもしくはターゲティングメニューです。

 

アドネットワークって在庫が似通っているイメージあると思うんですが、

実際に複数のアドネットワークの通常メニューを1ヶ月間平行で配信した重複率って

10%にもならないケースがほとんどなんです。

 

ちなみに配信対象が同じリターゲティングでもアドネットワーク間の重複率は30-60%程度です。

 

この事は、配信在庫が被っていようともアドネットワーク間における

ユーザの取り合いがほとんど行われていない事を表しています。

 

延べUUで見るとアドネットワーク間での被りは当然あると思いますが、

「短期間に特定の広告を見たユーザの中での被り」と条件が限定されるので

こういう結果になるんですね。

 

ですので

・ユーザはアドネットワークが持つ(在庫の)庭を横断する事はあまり無い

・庭の中だけでユーザとのコミュニケーションを図る必要がある

⇒ブロードリーチ/ターゲティングで接触、リターゲティングで刈り取り

という流れが一番効率が良いのです。

Fig.6:庭毎に獲得を行うイメージ

 

 

◆庭をまたぐユーザは?

上記では庭をまたぐユーザは大していないという話をしましたが、

本当に全ての媒体がそうなのでしょうか?

 

もちろん違います。

 

庭をまたぎまくるユーザを多く抱える媒体もあります。

 

しかもそうした媒体は純広告でしか在庫を買えないケースが多々あります。

どの媒体かはクライアント様毎のノウハウなのでもちろん公開いたしませんが、

割高だと思っていた純広告が実際にはびっくりするくらいの効果を出していたので

枠の追加をし効率的な獲得を続けているクライアント様もいらっしゃいます。

直接CVだけ見ていては、こういう事って絶対わかりませんよね。

Fig.7:連動性の高い媒体のイメージ

 

 

◆課題を単純化しよう

 

一時期はアトリビューションが今ある課題を解決する魔法のランプに

聞こえた時期もあったかと思いますが、

ネット広告代理店の現場はほとんどが直接CPAの世界で生きていますし

それはクライアントが直接CPA以外を求めていない事が理由なので

そうした所にアトリビューションと言っても地に足が付いていないソリューションとして

流行語大賞になり忘れ去られるだけです。

 

では、

「リターゲティングの効果を上げる媒体を探しましょう」

「リスティングのビッグワードを増やす媒体はこれです」

と言ったらどうでしょう。ふわっと感が減って興味が湧く話になったと思いませんか?

 

 

アトリビューションが解決する課題は最終的には大きいものであるべきだと思いますが、

その手段が突拍子も無いものだったり今のミッションと違うKPIだったりすると

受け入れる側は頭では理解していても実務で利用しようとは思えません。

 

まずは、今ある課題を今のKPIから大きく変えずに解決出来るやり方でアトリビューション=媒体の連動性を見る事 を進めてみては如何でしょうか。

もしかしたら、とても簡単に次のステップへの道が拓けるかもしれませんよ!

 

◆まとめ

・コンバージョンは複数の媒体が連動する

・連動するが、クリックが介在して連動する割合は全体のCVの10%以下

・コンバージョンの切っ掛けを有む媒体はクリック+サーチ流入=総誘導数が多く
リターゲティングへパスを出す媒体が良い

・リターゲティングとの連動性があるものは、リターゲティングを行うネットワークのメニュー

⇒庭(アドネットワークが持つ各々の在庫)の中で連動する

・庭をまたぐ媒体もあるが、クライアント毎に異なる

・アトリビューションという単語が解決出来るものは無い。課題に対して具体的に実行出来る方策を、一歩ずつ実行して解決していこう。

 

 








Author : yuzuru