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ネットベンチャー経営者が見た2016年「CES」。その②ハードウェアベンチャーって大変だ

田中弦のCESレポート、第二回です。よろしくお願いします。今回は、第2回はベンチャーエコシステム/デジタルヘルスケアサミット/デジタルマネーサミットについてです。

・ハードウェアベンチャーの立ち上げは楽になっているようだが、、

Westの地下一階では、数々のベンチャーが出展していました。そこで感じたのは、キックスターターINDIEGOGO等のクラウドファンディングがしっかりハードウェアベンチャーの立ち上げの際に当たり前のものになっているなということ。下の写真はINIDIEGOGOのブース。すごく盛り上がってた。

DSC00865モノを作るための資金調達はより楽になり、さらにファブレス当たり前で東南アジアへ発注、となると、これはもはや競争が激しくなりまくるのは必然かなと思う。

でもいい時代になったものだ。ハードウェアにおいてもアイデアがすぐ形になる時代が来たんだな。とってもワクワクするし楽しい。

ただ、、ちょっと思ったのはハードウェアベンチャーって大変だなぁと。ウェブサービスだけなら、ソフトウェアしか持ってないので、ボタンの位置を変えたりしてグロースハックしていくのは簡単な事だけれども、ハードウェアでボタンの位置を変えるのってそんな気軽なもんじゃないだろう。キックスターターから立ち上げて世界シェアナンバー1、世界を変えるようなベンチャーが産まれて継続して成長し続けるってイメージがどうもわきづらいのが正直おもったところ。

最初から高度なテクノロジーを持っていて、ハードウェアとして超競争力がある、というベンチャーだったらベンチャーキャピタル経由で大きく資金調達して成長していくのが一般的だと思うのだが、どうなんだろう。キックスターター→VC調達→IPOという経路が多く生まれてくるんだろうか。クラウドファンディング由来のもののほとんどは、同じハードウェア市場でもなんだか全然違う市場に見えた。

単なるウェアブルです、ソフトウェアも自前のものです、キックスターターで集めて始めました、だと「アイデアを形にする」のはハードル下がったのでいいんだけど、会社として持続的な成長を遂げて成功する、というのとは大きく違うんじゃないか。でも今思うと2000年ころのネットベンチャーも多産多死だったので、まだ始まったばかりということなのかなぁ。

別にウェブサービスやってるベンチャーが楽、って話ではないんだけれど。

でも。IOTですってだけで勝てるわけでもあるまい。特に単体ハードウェアで自前ソフトウェアで戦う場合は。

前回のブログでも書いたけど、Nestのプラットフォームのように、ハードウエア分野であっても、サービスとサービスが接続しあって、エコシステム作って、お互い強固に結びついてユーザーを囲い込む、みたいな事をハードウェアベンチャー同士でやってプラットフォーム化していけば、それはいいと思う。

ただプラットフォームはプラットフォームでしかないので、特定分野に一社しかそのプラットフォームで許されないのであれば、競争力も上がるかもしれないけど、それはこの時代のプラットフォームのあり方としてはありえない。

Nestとしては、サーモスタットに色々つなげる事はOKだし、他のプレイヤーはどんどん参入してほしいだろうけど、Nestを脅かすようなサーモスタットをそのプラットフォームに入れる事はないだろう。入れちゃうのかな?任天堂もハードもゲームも作って、ゲームもどうぞ参入してくださいって感じだったけど、ハードで参入してください、は無いと思うんだけどなぁ。例えばスマートロック分野でもたくさんのベンチャーがNestに対応していたけど、じゃあスマートロック単体でどう他の事業者に勝っていくのかは僕にはよくわからなかった。うまくNestに載せられてしまっているような気がする。

ウェブサービスの場合は、プラットフォームにはマネタイズの仕組みがセットになっている。(例えば広告がいい例。トラフィックさえあればなんとかグロースできる。ゲームについては課金代行や課金の仕組みがプラットフォームに用意されていた)

でもハードウェアのプラットフォームってどうなっていくんだろう。ハードウェアの販売単価で儲けてください、プラットフォーム側は知らんのでがんばれってことなのか、そこらへんがよくわからない。プラットフォームが無いよりはいいんだろうけど、ハードウェアベンチャーで大きく成長するための成長仮説が自分では描くのが悩ましく思った。

 

■デジタルヘルスケアサミットとデジタルマネーサミットで精神的殴り合いを見る

CESでは、展示と同時に、42ものカンファレンスが開催されています。もう全部行きたいところなのですが、、、中でも”Brands Working Startups“とか、”Content and Monetization“とか、”Drone Policy and Innovation“とか、”Marketing and Engagement“、”The Future of Media“に行きたい。が、体はひとつ。泣く泣く”Digital Healthcare Summit“と”Digital Money Summit“が同一会場で近かったのでそちらに参加しました。

展示会がお祭りに近いノリであったのが、カンファレンスは肉食獣同士が殴りあう感じでヤバイ。例えばデジタルヘルスケアサミットでは、でっかい企業やコンサル会社の人たちが「ベンチャー入ってくんな火傷すんぞ!」ってノリで吠えてる。もう規制とかの話をしまくって守ろうとしているのがよくわかる。「大変だぞ〜、大変だぞ〜」って。

ついでに「我々既存プレイヤーが火傷しないように買収すんぞ!」というスピードもすごかった。時計メーカーのフォッシルがウェアラブルの会社を買収したりアンダーアーマーがヘルスケアアプリ企業買収したりと。フォッシルやアンダーアーマーはわかりやすい事例だけど、例えばBtoB領域においても、日本ではあまり聞かない会社の買収が進んでいる。この分野でもどんどん買収すんぞ!という息巻きがすごい。ココらへんの雰囲気って日本では全然感じないな。

大きな企業がベンチャーを牽制しつつ、死なないように(もしくは競合つぶしのために)ベンチャーをバンバン買う。ウェブサービスだけでなく、ヘルスケアやハードウェアの分野でも、これが進行している。これは日本の未来でも起こることなんだろうか?ウェブサービスの分野だと、出資は一般的になってきたし、ハードウェアやヘルスケア分野でも、少しは事例が出ているとは思う。でも丸ごと買収してそれをテコにやったるで!みたいな事はあんまり聞かない。米国が特殊なのか、それとも日本でもこういった分野でも起こっていくことなんだろうか。もっと買収事例が増えてエグジット事例が出れば日本でもアリだとは思うんだけど。ヘルスケアと金融の分野では日本の大企業も買収していく方向にいくんだろうか。さて。

2回めは随筆風になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。3回めはビジネスを離れてラスベガスという街について書こうと思います。

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Author : yuzuru